2003NZ遠征記 其の一 ウザイ氏の来襲    8月11日  エピローグ追記



プロローグ  7月18日夜〜


プルルルルルル 

また携帯がなった。

(明日はNZへ出発!しばらく離れ離れになる家族との貴重な時間に誰だよ!?)



あ〜キャンプ参加者のT君か・・・

『はい、GSSです』

『あ、Tですけど、明日の集合場所を教えてください』

・・・そういえばFAXが無いT君にだけ口頭で伝えたんだっけ・・・

『はい、9時30分に、成田空港第1ターミナルのSQチェックインカウンター近くに来て下さい』

『えぇ〜とそれからもうひとつ聞きたいことがあったんだけどなぁ〜〜・・・忘れました!ハハハハ』

(こやつ、忘れましたって、やたら元気良く言ったな・・・)

『遅くなっちゃうけど、またあとで思い出してから電話しても良いですか』

『はい、良いですよ』

(おいおい夜遅くに電話してくる気だよー!気分的にはダメだけど、キャンパーにダメって言えるわけないじゃんよ〜)


その後、深夜に本当に電話がかかってきた。何を聞かれたのか忘れてしまった。たいしたことではなかった気がする。

*(注)みなさんへ ・・・普段は遅めの電話も全然問題ないですよ。気軽にかけてくださいねー


7月19日朝  集合40分前



そのとき私は成田空港周辺にある、駐車場に車を入れようとしていた。

プルルルルル・・・

(朝早くに誰?・・・またT君だ。今度はなんだろう、遅刻しますって連絡かな?)

『はい、松里です』

『あっ、Tですけどおはようございます。ところでみなさんどこにいるんですか?まだ誰もいないんです!』

・・・え?と思い、時計を見ると8時50分。。。集合40分前にいるわけないじゃんよー・・・

『いやTさん、まだ40分前ですから』

『ハハハハッハ・・・早目に着いちゃったんで。。。松里さんは今どこにいるんですか?』

『私は丁度パーキングについたところですよ。着いたら電話しますから待っててください』

その後、空港への送迎バスに乗っている時、もう一度 

『まだですか?』

っていう電話がT君からあった。まだですか?って集合時間より前なんですけど

 

・・・・・この時点で既にT君は、今年の偉人伝の筆頭を飾るにふさわしい偉大なる人物であることが私にはわかった。



私は≪ウザイ氏≫というハンドルネームを彼のために考えてあげた。理由はそうとうウザ・・・これ以上は言えない。。。だってお客様ですもの。


本編の主な登場人物
T君→ウザイ氏→豆氏 オギさん
本編の主人公 歯切れの良い返事をするナイスガイな大
学生。私と同じ埼玉出身!しかも有数の進学校出のインテ
リ・・・なはずなんだけど、ホストマザーに天の川を『The
river 』 と言ってしまった恥ずかしい人物。今日も知らず知
らずに生き恥をさらしまわっているとかいないとか・・・

天の川=ミルキーウエイだよ
ゲーム関係の攻略本などを書いてしまうお方。豆氏や
ジュニアたちの保護者のような存在であったが、既に帰
国してしまった。新作PCゲーム≪ライズオブネーション
≫は相当おもしろいと私に教えてくれた。

マイペースではあるが、特に問題がある人物ではない
=残念ながら偉人ではない

空港に到着!と同時に、首を長くして連絡を待っているウザイ氏(この時点の尊称)に電話を入れる。



『もしもし、松里です。空港につきました。Bカウンターの近くにいます』

『あ、そうですか!私はDに居るので今から行きます』

ウザイ氏とは今日はじめてお会いする。お互い顔がわからないので、電話をつないだまま集合する事にした。

ほどなく向こうから携帯を耳に当てながら近づいてくるそれらしき人物を発見!きっと彼に違いない。

『Tさん見つけましたよ』

『えっどこですか?全然わかりません』

(おいおい!もうすぐ近くに来てるじゃん。それにこっちも携帯を耳に当ててるんだから気付けよ)

手を振ってみるがそれでも気付いてくれないウザイ氏・・・本当にウザ・・・これ以上は書いてはいけない(気がする)

 

ようやくウザイ氏が我々に気がついたのは、あと5メートルまで大接近したときだった。

 


集合


程なく全員が集合した。なんと交通の関係でどうしても30分遅れます。と前日に言っていたボンさんまでほぼ時間どおりに集合した。



(すばらしい!去年はヤンと小野ヤンが大遅刻。小野ヤンなんか出発19分前のご到着で、乗れたのかどうかも飛び立つまでわからなかったもなぁ―。。。今年はみんなどうかしてるぞ、良いほうに!)



というわけで、さっそく搭乗手続きをすることになった。


チェックイン


海外旅行で一番頭がいたいのが、チェックインである。

通常の旅行者と違って、スノーボード用具を持っていかなくてはならない我々にとって、預け荷物の制限キロ=20kgは、大きな壁である。ただし実際には+10kgは大目に見てくれることを経験的に知っているので、同行する5人にはくどいほど、

 

『荷物は最小限にし、何とか30kg以内に収めてください』

 

と案内してきた。

ちなみに私はフラッグやポール等を含めると、到底クリアできないので、それらを別送品で送付済みである。


今回は奇跡が起きた!なんと6人合計で179kg!!(=1人平均30kg弱)



ウソ?いつもはうるさいカウンターのお姉さんが一言も重さのことを言わない。。。

 

感激だ!

 

感動だ!

 

こんなことははじめてだ!!

 

えらいぞぉーお前達。良くぞここまで荷物をまとめた!好きだ!愛してる!

これならすんなりとチェックインが終わるはず!

・・・と思ったのだが、、、

・・・30分経過
・・・45分経過

どうやら神は、我々にルーキーと言う試練を与えたもうたようだ。

いったい何をしとるんだ?いつものように重さで揉めているわけじゃないのに、一向に搭乗券が手渡されない。。。

(お姉さん、もしかして新人?)


と聞こうかと思ったが、奇跡の梱包に気を良くしていたので不思議とイライラはしてこなかった。

いつもなら、超過料金の交渉で忙しいが、なんと言っても今日はオーバー無し!ただ待つのみである。

 

手持ち無沙汰なので、ふと周りを見回す・・・・・

そこにウザイ氏にそっくりなお方が!



『T君、あの人おとうさん?』



『(ややはにかんで)はい!』

やっぱりィー!そっくりだもんなぁー。。。

でも決して2人はお互いに目を合わせない。テレがあるのだろう!私にも経験がある。

 

大学生とはいえ初めての海外旅行。本人も家族も不安に違いない。

(そう言えば私もはじめてカナダにワーホリで行くとき送ってもらったもんだよお・・・)

と、遠い日を思い出しているうちに、ついにチケットの用意ができたようだ。

お父さんはいつのまにかいなくなっていた。ご挨拶したかった。。。


しかし神は更なる試練を我々に課した!

ついに搭乗券を受け取ったものの、預けた荷物の数と、タグの枚数が合わない!



荷物は10個、たしかにベルトコンベア―で流されていった。だけどタグは

9枚!


一枚足りなぁ―い!

 

10−9=1.........やっぱり無ぁーい



ということは、誰かの荷物がタグ無しで世界の空にはばたこうとしている!

ダメだ!羽ばたかせちゃダメだ!!そうしたら2度と帰ってこない気がする

お姉さん!何とかしてください。お願いします m(_ _)m

m(_ _)m

m(_ _)m

m(_ _)m

m(_ _)m

m(_ _)m

  
ん??・・・っていうかあんたのミスだ!早く何とかしなさい!!


お姉さんは冷静だった。

仕事振りは新人のクセに、あわてず淡々とミスを処理する姿はまるでベテランのようだ。我々も超過重量のバトルがなくなったおかげで気が抜けたのか、怒ってしかるべき事態にもかかわらず、至って穏やかに推移を見守った。

この間に私の心に去来した気持ちはひとつ

 



『俺の荷物じゃなきゃ良いな』


悪魔だ!キャンプ主催者失格だ!!自分が被害者じゃなければ良いという自己中心的な考え、さらにT君の荷物ならもっと良い・・・とはさすがに思わなかったが、私はなんて奴なんだあぁぁぁぁぁぁ〜!!

 




約10分後、お姉さんが発した、

『タグがついていない荷物は絶対にどの飛行機にも乗らないので、必ず見つかります。搭乗機にお持ちしますのでご安心ください』

という自信溢れるお言葉に無理やり安心し、両替など各自やることもあったので搭乗時間まで解散という事になった。

 

こうして我々の記念すべき、はじめての≪バトルなしチェックイン≫は、結局は戦ったときと同じくらい、たっぷり1時間以上をかけて終了した。


機内にて

 

『こちらのお荷物をお預けになった方はいらっしゃいますか?』

 

誰もが必ず通過する機内への乗り込み口で、紺色のスーツケースの持ち主を空港職員のお姉さんがさがしていた。

(残念ながら私のものではない・・・私・・いや我々の荷物は見つかったのだろうか?)

 

座席に着いて少しすると、今度はフライトアテンダントの女性がやってきた。

『タグのついていない紺のスーツケースがあるのですが、お預けになられた時間帯から、皆様のグループのお荷物だと思われます。お心当たりはありませんか?』


横一列に座る、ぼんさん、Mさん、オギさん、プチ反町君に次々と確認したが、誰も心当たりが無い。

あとはなぜか前列に座っているあいつだ!T君に違いない。。。

 

T君と私とは席が離れていたので、オギさんが聞いてみた。

 

待つことしばし・・・


あれ???どうやら違うようだ。

この結果を受け、私は確信に満ちた表情で、『いいえ、私たちのスーツケースではありません』と答えた。


 

アテンダントが立ち去ったあと、



『他にも行方不明荷物があるみたいだけどこの会社大丈夫かよ』
『俺たちの荷物は見つかったのかな!?』


というような話題で盛り上がっていると、今度はスーツケースを持って、先ほどのアテンダントがやってきた。

 



『このスーツケースなんですが、本当にお心当たりはございませんか?』

(だから知らないって)

と思いながら、私は再び横のみんなに確認をうながした。

 


みんな首を横に振った・・・やはり違うようだ。あとはT君!

 

待っていたように以心伝心でオギさんがT君の肩を叩いた。。。

『あのケース、君のじゃないよね?』

 

スローモーションで、ケースのほうを見たT君が確かに


ビクッ!と動いた・・・

 

『あっ僕のです!』

(0 0)

鼻の穴が広がった・・・

 

 


(えぇー!!お前かよぉー・・・さんざっぱらスチュワーデスさんに『違います』って言っちゃったのに、やっぱりお前かよぉー!!俺は恥ずかしいよ、穴にあったら入りたいよ・・・なのに君は、あのときの電話と同じく、恥じることも悪びれることも無く、ハッキリ爽やかに言えちゃうんだね!?)




スーツケースを重そうに引きずりながら立ち去っていくスチュワーデスさんの背中に、深く頭をたれるT君以外の5人であった・・・





荷物事件も解決し、ホッとした我々を、空港職員のおじさんたちが手を振って見送ってくれた。


行って来まあーす!!T君を連れて行って来マース・・・涙(先が思いやられるよー)



シンガポール航空の機体は他社より新しい

シンガポール航空のフライトアテンダントは美人が多い

シンガポール航空のフライトアテンダントに妖怪はいない(アメリカ系は妖怪だらけ)

シンガポール航空はエコノミークラスでもパーソナルビジョンがある!

 



というわけで、機内では、映画・ドラマ・ゲーム等をここぞとばかりに楽しんだ。

 



そんな中に、私が好きな『ミスタービーン』のアニメ版があった。



実写のミスタービーンを観た事がある人も多いと思うが、あの特徴的な顔立ちを更にデフォルメしたアニメ版ビーンがそこにいた

 


ウゥッ!!! 


似ている、、、T君改めウザイ氏に似ている!彼こそ東洋人版ミスタービーンにふさわしい!!

 

 

既に偉人伝の構想を練っていた私は確信した!



ミスタービーン=西洋、、、東洋流に言えば『豆氏』

 



T君改めウザイ氏を更に改め、豆氏誕生の瞬間であった。




エピローグ

メスベンに来て、3週間が過ぎたある朝

前夜はメスベンビックエアで盛り上がり、キャンパーと大いに飲み、午前3時過ぎには今日帰国する兄貴(遼)を見送ったりして、とにかく寝たのは5時半、おまけにかなりのアルコールを摂取したため、我がアビスコアパートアダルトチームは全員爆睡していた朝のこと・・・・・

プルルン_プルルン_×11回

2階まで聞こえる大きな音で電話が鳴り響き、幸せな朝の静寂を打ち破った。

その音は、私を深い眠りから引きずり出すだけの力を持っていた。
しかし私は抵抗し、決してベットから出ようとはしなかった。

ほどなく耐え切れずに同室の守屋氏が起きだした。

(ごめん、守屋さん。あなたの犠牲を無駄にしないよう私はしっかり眠り続けます)

しかし、守屋氏が起きた直後電話が切れた。

(まあいいか)と思った瞬間、再び2回目の電話がかかってきた。

よっぽど大切な電話なのかもしれない

そう思った私は、再び起き上がった守屋さんを制し、階段を駆け下りた。そう、私は責任感溢れるキャンプ主催者!酒と眠気に負けて大切な電話を取りそこねるわけには行かない。

強い決意だ!さすがだ⇒私!!

8回目のベルが鳴り受話器を取った瞬間、電話が切れた・・・(間に合わなかったぁ―・・・地球を救うことができなかった。。。)

私が自らの運命と、深い挫折感にさいなまれそうになったとき、3度目のベルが鳴り響いた!!

(こんな朝っぱらから何度もかけてくるなんて、やっぱり大事な電話なんだ!電話は目の前、今度は絶対間に合う!!)

左手ですばやく受話器を取った。


『もしもし』



『あっ田中ですけど、今日のサッカーは何時からですか?』


えっ?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『朝っぱらからなんだよー!!』

(実際には8:50分ぐらいであった。決して非常識に早い時間ではない。しかし、そんなことで何度も電話するな!パーティの翌朝だぞ!!)

と思ったのは起こされたすべてのキャンパー共通の思いであったろう・・・

怒りをかみ殺しながら時間を案内し、電話を切った。

2度寝をするため2階の寝室に戻った。守屋さんと森田君に『豆氏だったよ』と伝えた。重要な電話でなかった事に安堵すると共に、ふつふつと怒りが込み上げた。休日の眠りを妨げられた報復はせねばなるまい。


午後3時、サッカーの日韓戦がメスベングランドで始まった。豆氏は来なかった。

豆氏が姿をあらわしたのは、2時間が経過した頃であった。。。


追記:2階で寝ていた全員をたたき起こしたあの電話が鳴り響く中、まったく起きなかった人がいる。

電話からわずか3メートル!1回のソファーで酔いつぶれていたOKAちゃんである。次回主役のOKAちゃんとは、それほどのつわものなのである。

次回予告・・・ちょっとあなた達、今度の主役はこのあたしよ!


右の写真をご覧ください。
私を主役にしないとただじゃ置かないと、バーで脅される筆者・・・



というわけで、次回の主役はOkaさんです


次回予告・・・Okaさんと私、その剛速球を投げあうようなコミュニケーションの結末はいかに!?