2003NZ遠征記 其の二  僕らの7日間戦争





赤く燃える東の空が、戦いのはじまりを暗示してい
た。
プロローグ



『ちょっと、じゃあねって何?ユウカ!?』

プーーーーー

『宿題が忙しいからってユウカ(娘)に電話切られた』

『子供だから仕方ないよ。うちの天だってめったに出てくれないもん。こないだなんて≪豆食べてるから忙しい≫って言われちゃった
よ』

『私はカブトムシに負けたわ』

岡ちゃんと私は、共に最愛の家族を母国=日本に残して来ているという唯一にして最大の共通点によって結ばれていた。子供がな
かなか電話で話してくれないことを慰めあう間柄でもあった。

そう、あの朝までは・・・

主な登場人物

岡ちゃん・・・今回の主役

なんなん?そのポーズ!?いけてねェー
私・・・悲壮な決意をもって戦う男

ポーズとはこう決めるものさ


第1章  戦争勃発


その日は講習が休みの日であった。

目的無く早起きすることなどありえない私は、皆よりゆっくりとマッタリした至福のときをベットですごし、それを充分満喫したあと2階の寝室から1階のリビングに降りていった。

すでに数名は朝食を終え出かけたようであったが、丁度≪いけてない九州男児=モリケン君≫がみんなのために『ニュウ麺』とかいう名の、そうめんをかけうどんのように食べる朝食をつくっていた。

それが完成したとき、私は確かにその場にいた。もちろん『おはよう!』の挨拶も済ませて!

おはようの一言で私はその存在を最大限にアピールしたのだ

モリケンが言った

『できましたよおー。先着4名!!』

1=モリケン
2=守屋さん
3=0ちゃん
4=岡ちゃん
5=私・・・・・・・・・・・ 5人目じゃん!!

5皿に盛り付ければ少し減るかもしれないが5人全員食べられるはず、でも今先着4人って言ってた、、、内心涙が溢れ出た・・・だけど私はコーチでキャンプ主催者でそれ以前に大人だ。ここは何も言わず我慢我慢!と自分に言い聞かせ、同じテーブルで一人さみしく冷たいコーンフレークを食べた。ニュー麺がとてもあたたかそうだった・・・

とはいえこの時点ではまだ『作り始めた時点では寝ていたから仕方が無い』と思った。


同志だった頃の2人
その日の夜、翌日が完全オフ日ということもあり、アビスコアパートの住人(全員大人)は誰彼と無くビールやワインを飲み始めてい
た。

酔いが回り、時計の針も0時を回ったころ、岡ちゃんが言った。

『誰が一番起きてられるか勝負しません?』

ケイタは寝ると言った

モリケン君は寝た

裕次はお付き合いするようだ。私もつきあわなばなるまい。
深夜3時・・・裕次が寝ようとした

『ちょっと裕次君!言い出しっぺが寝ていいと思ってんのオ〜?』 
(独特のイントネーションが文では伝えられないのが残念です)


『いや、言い出しっぺは岡さんですって!』 

『そんなこと無いって、裕次君だって!!』


いえ、岡さんあなたです。。。


裕次が寝て、代わりにモリケン君が起きてきた。

しばらく3人で飲みつづけた。4時を回り、岡さんも眠そうだ。私も明日(今日)1日を棒にふりたくは無かった。

さすがにそろそろ寝ようかと思い、グラスを空けた。

すかさず岡さんが、ワインを注ごうとする。


『えっ、岡さんまだ飲むんですか!?』

『もちろんですよ』


まだ飲む気だ!しかたない、男として、キャンプ主催者として断るわけにはいかない。

お互いのグラスをワインで満たし、飲みつづける事になった。


約30分が経過したとき、突然岡さんが哀願するような声で言った。


『頼むからもう寝かせてくださあ〜い・・・』


!?


えっ?それじゃまるで俺が岡さんを無理やり酒に付き合わせていたみたいに聞こえるぞ!

ちょっとまてえぃ

岡さんのお酒と、思いつきで始めた朝までバトルに付き合ってあげたのが私だったはず、それじゃ逆じゃねぇかぁ―


そのことをモリケン君と2人でよおーく言い聞かせたあと、朝まで耐久バトルを終わるべく自分のグラスを空け、コルク栓をワインボトルに押し込んだ。

これで寝られる。


ポンッ


軽やかな音をさせて、岡さんがボトルからコルクを抜き取った。



次の瞬間、空にしたばかりの私のワイングラスにワインを注ごうとした。

何とかそれを阻止した。モリケン君はそれを見て大爆笑していた。だって今『お願い寝かせてぇー』とか言ってたのに。

こうして僕らの7日間戦争がはじまった。

岡’Sアタック 3

リビングには、私・守屋さん・岡ちゃんがいた。

岡ちゃんは河守さんからもらった煎餅を食べようとしていた。
私が階段をあがりかけた瞬間、それを待っていたかのように

『守屋さん、半分食べます?』

『あ〜・・・いただきます』

相変わらずのんびりした口調で守屋さんが答えた。

また攻撃されたよ・・・

と思っていると私のほうに岡ちゃんが近づいてきた。

おや?くれるのかな??

すれ違い様、煎餅を自分の口に放り込む岡ちゃんであった。



結局くれなかった・・・

パーティ中に集団を離れ、ジムと2人の世界を作っていた岡ちゃんをスクープ!

しかし、ジムはZUZAのお姉さんが来たとたん岡ちゃんを捨てた。。。

カウンターアタック

もはや、キャンプは岡ちゃんに支配されようとしている。。。このままではいけない、何とかしなくては!

悲壮な決意を持って、私の反撃が始まった。

名づけて『岡ちゃんのハンドルネームを考える作戦』


これまでのハンドルネーム=岡ちゃんは、普通じゃない存在の岡ちゃんに対してあまりにも普通、というか本名だ。本名を
ウエブ上に出していいのだろうか?本人は良いといっているが心配だ。そこでピッタリのハンドルネームを考えてあげる
事にした。

しかし岡ちゃんはめげない!ジムの友達=ライアンをゲット。その後、複数のキャンパーがライアンの携帯番号が岡ちゃんの手に書かれている事を目撃した。
ゴットマザー


岡ちゃんの支配力を端的にあらわすにはこれ以上な
いネームであろう!

皆さんいかが思われるか?
R指定


岡ちゃんの夜の行動をこれほど的確にあらわすネームは他に無いであろう!

いかがか?
オカミネーター


ターミネーターに引っ掛けたネームである。その存在や行動にもなんとなく即している。語感もいい。本人は、本名の次にこれを気に入っている。ちなみに岡ちゃんがTバックを持っていることから、決めぜりふは I'm T back ( I'll be back)

いかが?
こうして書いていても、ささやかな・・・実に非力な反撃である。。。しかしオカミネーターの攻撃はその後も容赦なく続いた

オカミネーターの攻撃 4


その日、雪上講習ではちょっとしたトラブルがあった。

初心者エリアでオカミネーターが日本人スキーヤーを一人ターミネートしたのだ。

簡単な斜面で良い感覚を掴んでもらいたくて、そのエリアに連れて行ったのだが、見事に暴走した。コーチである私の責
任でもある。幸い相手はインストラクターで、特に怪我も無かった。

そのあとお互いに反省し、どうやら基本ポジションを理解していないことが上達の足かせとなっている事に気がついて、モ
リケン君とオカミネーターに家に帰ってからイメトレをすることにした。



家に着いたもののオカミネーターは、なにやらバタバタと自分のことをやっていた。私はその間にHPの掲示板などをチェ
ックし終えて、シャワーを浴びようとしたときになって、

『イメトレしてください』

とオカミネーターがやってきた。もう上着は脱いでいたがしかたがない、俺はコーチだ!



イメトレは1時間にも及んだ、その間私のみならず、裕次やケイタも協力してくれたおかげで、オカミネーターもモリケン君
も雪上とは比べ物にならないほどスタイリッシュなポジションに進化した。これだけイメージがしっかりできれば、あとは実
際に雪上で恐怖心という壁をひとつずつ乗り越えていくだけだ。

一仕事を終えた満足感を味わいながら、私がバスルームに入り、ドアを閉めた瞬間、オカミネーターの言葉が聞こえた。



『あ〜あ、ジムにトレーニングに行きたかったのに』

 !



なんだとぉー!!

わが耳を疑った。自分の予定を裂いて、イメトレしてあげたのに、感謝されるどころか責められるとは・・・

次の瞬間、一度脱いだパンツをはいて、オカミネーターを非難しにバスルームを飛び出したのは言うまでも無い。そしてし
ばし、ケイタ達からも非難の集中砲火を浴びるオカミネーターであった。

前回の主役=豆氏
ここまで来るとキモイ・・・

その豆氏をも篭絡した岡ちゃん

I'll be back !!

前回の我々人類による総攻撃でダメージを受けたはずのオカミネーターであったが、新たな技を覚えて彼女は帰ってきた。

その夜、モリケン君がパソコン内に保存してきた映画を見る事になり、0ちゃんがシャワー中のオカミネーターにいっしょに見るかどうかを聞いたところ、『うん、見たい見たい』と答えた。

待つことしばし、オカミネーターがリビングに下りてきた。と思ったら、隣の部屋(アビスコアパートサウス。うちはノース)に行った。

(たぶん電話をかけにいったんだろうな)

と私たちは思い、もう少し待つ事にした。

5分

10分

20分が過ぎた頃、業を煮やして様子を見に行くと、そこにはすっかり腰を据え、ジュニアたちと談笑するオカミネーターの姿があった。

『岡さん、映画見ないの?』

??・・・ああっ!忘れてました


0ちゃんが聞いてから部屋を出て行くまでたった10分弱、恐るべしオカミネーター!

この件以外にも、ケイタに『いっしょに走りたいから待ってて』と言って啓太を待たせておきながら、自分の準備ができたとたんケイタをおいて走りに行こうとした事件もある。どうやらこのオカ
ミネーターにはメモリーチップが入っていないようだ。。。

なお、我々人類は、この新たなる攻撃手段を 

≪放置プレー≫

と呼ぶ事にした。


ジュニアのヘッド=兄貴 兄貴率いるジュニアギャング! 兄貴篭絡!
もはや私の命は風前のともし火

オカミネーターの攻撃6 ザ・ジャッジメントデー

相次ぐ激しい攻撃を受けた結果、その日は私の存在はほとんど消えかけていた。

理由1:朝、トイレで用をたしているとモリケン君に電気を消されてしまった。トイレは外から人が入っている事が見えるの
で、今までこういう事はなかった。


理由2:そのあとシャワーを浴びていると、誰かがドアを開けて入ってきた。男がシャワー中に別の男が洗面台を使うこと
はたまにあるのでそれほど気にしなかったが、そいつはドアを開け放したまま出て行ってしまった。これじゃリビングから
丸見えだ。このままではシャワーカーテンの外に出れないので、大声で裕次を呼びドアを閉めてもらった。

その後、0ちゃんが私がシャワーを浴びている事に気付かずに洗面台を使用し、そのまま出て行ったことが判明した。狭
いバスルーム内でシャワーの音や私の気配に気付いてもらえないとは、本当に私は消えかけていたのかもしれない・・・


理由3:裕次にドアを閉めてもらったので、私はシャワーカーテンを開け、バスタオルで体を拭いていた。私がバスルーム
にいることは、さっき大声で裕次を呼んだのだからみんな知っているので安心していた。それにこのバスルームも曇りガ
ラスを通して人がいることが外からでもわかる構造である。ただしカギは無い。

うららかな陽射しを浴びて油断していた。機械たちはこの隙を狙っていたのだ!

ガチャ!

私が入り口に背を向けた瞬間、ドアがあいた。

しまった!背後をとられた!!!

振り返るとそこに、オカミネーターが立っていた。

1秒・・2秒・・3秒    じっくり見られた。人類の肉体を敵に分析されてしまった。


服を着てバスルームを出た私に、オカミネーターは笑顔で言った


『すみません。ほんと気がつかなくって!でも松里さん。よか尻してますねぇー』


ザ・ジャッジメント=松里は良か尻をしている

今宵も獲物を物色する岡ちゃん
たまたまバーに居合わせた右側の男性があぶない!

オカミネーターとの戦いは、これからも続いていくことであろう。安息の日は遠い・・・

今週のおまけ
1本のワイヤーでかけられたはしごを昇りきれば50ドルが手に入るゲームに兄貴が挑戦!


3度トライするも失敗に終わった
続いて、沖縄のマッチョマン=そねっちが挑戦!

この姿勢からまったく動けない


動いた瞬間転落!やはり失敗に終わる

軽量の兄貴も、筋力マッチョもダメだった・・・

マッチョそねっち
バランス能力に長けているはずの我らができないなんて、そもそも無理なんじゃないの??

できるならお前が証明してみせろ!

というわけで、運動神経なんか絶対になさそうな小太りの店員に挑戦させる。



あっさりクリア・・・おみそれいたしやした

疲れました・・・ちょっと癒されたくて、こんな写真を並べてみました 次回予告

もうネタが無い。救世主は現われるのか?次回があるかも疑問
だ。まあNZ編がネタ切れなら、そのうちアジア大会遠征記でも書
こうかな。